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 ILP(自立生活プログラム)事業


1993年の任意団体発足当時より行っている事業です。当初は、自立生活を希望する障害者に対し、他人介助者との宿泊、制度学習、家事実習体験などを個別に行う支援の形態でした。その後東京都の助成事業となる過程で自立生活プログラム(ここでは複数の参加者による実習形式を意味する)を勧められたことにより、現在の事業形態となりました。

「生活いっぱい」「アトリエいろいろ」「お茶会みるくぱん」「日中及び宿泊生活体験」「ことばの相談」を柱に運営しています。


2023年度の活動について

1、事業運営全般

■ 新規の利用者の拡大を目指し、継続的に意見交換を行いました。生活いっぱいの外出企画においては、外出先を特定し、開催期日は利用者の希望に合わせて行う方式を取り入れた募集ポスターを送付していますが、十分な結果が表れませんでした。引き続き募集方法などの改善を行っていきます。

■ バス宿泊旅行と新年会企画を法人企画へと引き上げ、新規の参加者が計8名あり、参加者総数は、昨年度に対し6名増加しました。

■ 各事業(企画)内容のレベルアップについては、参加者拡大に主眼を置いたため、次年度への繰り越し課題となりました。

2.生活いっぱい

■ 外出体験企画以外はほぼ予定通り実施しました。6月の学習企画は、世田谷区肢体不自由児者父母の会の会長に講師となって頂き、障害の理解や医療的ケアの必要性について具体的に学習でき、中身の濃いものでありましたが、当事者の参加が少なく残念でした。バス宿泊旅行と新年会企画を法人企画へと引き上げ、昨年より6名参加者増となりました。コロナが第5類になった影響もあると思います。

■ 久しぶりにたまがわの花火大会見物企画を実施できました

■ 3月の学習企画は、世田谷区手をつなぐ親の会の副会長に講師となって頂き、知的障害は種類や程度に違いが多く、支援方法も多岐にわたることを学習しました。

【実施企画】
開催月日企画内容開催場所参加者数
8月23日学習企画(当事者から学ぶ-「肢体不自由児者父母の会」世田谷区立保健医療福祉総合プラザ2名
9月30日-10月1日バス宿泊体験旅行西伊豆松崎温泉10名
10月21日たまがわ花火大会多摩川河川敷3名
2024年1月6日外出体験企画海ほたる-千葉県3名
1月13日新年会企画北沢タウンホール12階スカイサロン14名
3月12日学習企画(当事者から学ぶ-「手をつなぐ親の会」世田谷区立保健医療福祉総合プラザ3名

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3.アトリエいろいろ

■ 利用者拡大に向け、開催日を7月から土曜日としましたが、結果として参加者がなくなるという事態となりました。他企画同様にコロナ後の生活様式の変化も大きく影響していると考えますが、2月から新たな参加者を迎え、立て直しを行っています。

■ 制作された作品は、毎年世田谷区主催の障害者の日ふれあいフェスタ作品展に出品し、ホームページ等への掲載は実施しましたが、法人事務所などを利用した展示会の開催は出来ませんでした。

【開催状況】
4月4日5月2日 6月6日 2月24日 3月23日
1名 1名 1名 2名 2名

参加者の制作状況

A さん: 線画に、色鉛筆で、春野菜を色鮮やかに表現しました。

B さん: 鉛筆デッサンで、モノの立体感や形、質感を表現しました。

C さん: ロマンスカーを、線画に貼り絵で、あざやかに表現ました。

D さん: カタツムリを、線画に色鉛筆で、豊かな色彩で表現しました。

4.お茶会みるくぱん(調理教室)

調理実習に特化している取り組みです。調理技術を高めるとともに、アトリエいろいろと同様に、複数の参加者での交流による対人関係の広がりも期待される内容となっています。

■ 計画通りの開催となりました。コロナ前に参加していた方が戻ってくるなど明るい兆しがあります。また、参加者やボランティアスタッフから、毎月開催してほしいという要望が出されました。

■ 参加者ごとの障害特性に応じた作業などへの参加支援については、まだまだ改善が出来ると考え、見やすいレシピや作業手順書の作成を今後考えて行くこととしました。

2023年度開催状況                                       開催場所 自立生活体験所
開催月日企画内容参加者
6月24日(土)夏バテ対策企画
【内 容】
夏バテ防止メニューとして、サラダうどんとフルーツポンチ作りを行ないました。サラダうどんには、オクラ、なす、トマトなどの夏野菜を材料にしました。これなら簡単に自分でもできると参加者から感想がありました。
また、料理教室をもっと開催して欲しいという声が多数ありました。
4名
9月9日(土)秋の味覚企画
【内  容】
秋のフルーツや野菜を具材にしてクレープ作りを行ないました。クレープの他に昼食を用意していなかったため、最初参加者は、クレープだけで大丈夫かと疑問を抱いていましたが、野菜を材料にしたクレープが十分に昼食代わりとなることがわかり、驚いていました。フルーツと生ホイップや生チョコをトッピングしたものもとても美味しく大満足されていました。
3名
12月16日(土)クリスマス企画
【内 容】
鈴カステラを使ったトリュフ状のチョコレートづくりを行いました。鈴カステラを小さく砕き、チョコレートをまぶしたものですが、思った以上に固く出来上がってしまい、ちょっと残念でしたが、味は美味しく、型崩れしにくいものとなり、みなさんお持ち帰りしました。
3名
2月10日(土)バレンタイン企画
【内 容】
講師の方から材料の説明があり、その中にシリアルがあったため、参加者全員どんなチョコになるのか興味津々で作業開始。出来上がったチョコは、隕石のような凸凹の形になり、とてもおいしいようには見えません。恐る恐る試食すると、全員がビックリ。とっても香ばしいチョコになっていま した。参加者全員大満足でした。         
3名

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5.日中及び宿泊生活体験

自立生活を希望する障害者に対し、他人介助との宿泊、制度学習、家事実習体験などを個別に行う支援の形態です。日中生活体験においては、創作活動や調理体験を個別に行う形態となっています。

日中生活体験

■ 本年度もご利用はありませんでした。アトリエ同様にコロナ禍の影響があることと、宿泊体験の方が宿泊の前後の時間(日中)を利用することが多くなっていることを踏まえ、東京都(福祉保健財団)には、日中生活体験の宿泊生活体験への統合を検討している旨を報告しています。

宿泊生活体験

■コロナ禍の影響は少なく通常運営を継続している。家族の病気のため利用日数が大幅に増加した方があり、昨年の190泊から362泊利用へと大幅な増加となりました。
■ 利用日数が大幅に増加した利用者及び家族の方に対しては、自立生活(グループホーム入居)に向けて、生活保護の申請など具体的な支援を行いました。

【利用状況】
4月5月6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月
宿 泊 数38泊41泊41泊40泊40泊37泊44泊42泊14泊11泊8泊9泊
利用者数4名4名4名3名4名4名5名4名3名3名2名2名
【利用者のまとめ】
宿泊総数利  用  内  容
Aさん43泊毎週月曜日に利用。自分の自立生活のイメージづくりのため、介助者と一緒に様々なことにチャレンジしています。
Bさん243泊重度の知的障害があり、家族のレスパイト目的の利用でしたが、12月よりグループホーム入居に移行されました。
Cさん43泊重度重複障害があり、家族のレスパイトと将来の入所やグループホーム入居を想定しての利用となっています。
Dさん4泊他区のグループホームに入居中ですが、自分らしい自立生活を目指して、体験利用を継続しています。
Eさん22泊近に迫った自立生活に向けて、より実践的な体験を行い、2月から自立生活を開始されました。

7.ことばの相談

2018年度より自立生活プログラム事業として承認されました。
言語聴覚士が言語障害を持つ方などに対し、それぞれの個性に合わせた言葉の指導を行い、生活の質の向上を目指します。個人の個性、特製、理解度の違いを把握し、個別に寄り添う形で指導を行っています。また、言語指導を通して生命維持に大切な摂食、嚥下機能の現状維持・向上も目標としています。

2023年度実績

■ コロナ禍の影響が減少したこともあり、おおむね予定通りの開催、参加となっています。

■ 残念ながら、講師の後継者問題解決の見通しは立っていません。

 【開催状況】 ◯が出席、×が欠席
4月5月6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月
AさんXX
BさんXX
CさんXXX
DさんXX

利用者のまとめ

A さん:・昨年は体調も良く出席率が良かった。口腔機能にも舌を中心に機能の向上が認められる。
・会話中の形容詞などで発言の明瞭度が向上する。日常生活ではよく喋り、自分の意思伝達も明瞭になる。

B さん:・昨年度はケガなどもあったが出席率は良かった。
・口腔機能の向上が見られ、硬いものの咀嚼も出来る。
・構音練習も短文、長文に入るが、ペースを落とし、間の取り方を工夫する事で明瞭度も上がる。
・なるべく緊張をしない事。

C さん:・お休みも少なく、頑張って通ってくる姿勢が見られる。
・食事は良く工夫する、たまにはむせが見られる様だが時間中には特にひどくむせることはない。
・基本的な口腔機能練習は積極的に取り組んでいる。
・構音は単音の明瞭化が見られる。

D さん:・22年11月から指導を行っている。
・口腔内の過敏や、入れ歯の定着に不安定さが見られ、工夫しながらの指導を行ってきた。
・指導の中心を摂食におきながら、言葉の発達のバランスや発音の改善に取り組んできた。
・発音の検査は未実施

※月1 回の利用が原則です。


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